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釣り人にとっての環境(ゴミ)問題 
報告;吉田幸二

第9回 釣り問題研究会「釣り人にとっての霞ヶ浦」リポート
報告;吉田幸二

2006年10月21日(土)、東京海洋大学で第9回釣り問題研究会が開催されました。
13時から水口憲哉先生の『霞ヶ浦への関わり方』、
続いて工藤貴史さんの『霞ヶ浦の人・魚・水 -漁業の変遷から-』
の講演があり、その後ワールドバスソサエティー横山鉄夫会長の
『霞ヶ浦の遊漁制度への新たな取組み』について話しがあり、
そして、最後にNPO水辺基盤協会・代表として僕の
『釣り人にとっての環境問題』の意見発表をしました。

本当は原稿を用意しておいたのですが、
当日になって急遽、DVDを皆さんに見てもらうことにしました。
それは9月23日に開催された第12回霞ヶ浦防塵挺身隊の模様です。
先ずは霞ヶ浦の水辺の現状を皆さんに知っていただき、
そこから見い出せるもの、創り出せるものを探りたかったのです。

と言うことで、原稿は没になりました。
でも、このままボツにしてしまうと、もったいないお化けが出るような気がして、
NPO水辺基盤協会のサイトで紹介させていただきます。

『釣り人にとっての環境(ゴミ)問題』

バスフィッシングを始めて35年が経ちました。
14年ほど前、バスフィッシングをより追求したくて、
東京を離れ、霞ヶ浦の畔に移り住みました。

しかし、外来種である私は地元になかなか受け入れて貰えず、
一人黙々と釣りをする日々が続きました。
そんな暮らしの中で、ふと水辺へと目をやると、
そこにはおびただしい量のゴミ。
それまでは、それほど気にせず見過ごしていた浮遊ゴミでしたが、
ある時を境にこれらのゴミを意識するようになりました。
それは、バスフィッシングの釣果にかげりが見え始めた1995年頃でした。

「ゴミのない美しい水辺でバスフィッシングを楽しみたい」。
と言う素朴な願いは、多くの釣り人が持っているはずです。
枯れた葦やガマの葉、切れた水草などが吹き寄せられたゴミ溜まりなら
それも自然の一部ですから許せるのですが、
ペットボトルや空き缶、発泡スチロール、栄養ドリンク瓶などが
水面を漂っている水辺での釣りは、楽しみは削がれ腹立たしくなります。

釣りの度に少しでもゴミを減らそうと、
一人でゴミ拾いを始めたのですが、埒が空きませんでした。
そこで、W.B.S.(ワールドバスソサエティー)の釣り仲間を集めて、
「みんなで霞ヶ浦のゴミ拾いをしようよ。
ゴミのないきれいな釣り場を自分たちで作ろうよ」と呼びかけました。
1996年2月、70名ほどの心ある釣り仲間が集まって、
霞ヶ浦での釣り人による清掃活動が始まりました。

この時、土浦市にゴミの処理依頼に伺ったのですが、
あまり良い返事は貰えませんでした。
また、茨城県の土木事務所も同様でした。
一番のネックは土浦市以外のゴミの処理や分別、
さらには粗大ゴミの処理方法を巡ってのことでした。
茨城県にいたってはまったくの知らぬ顔でした。
だったら、トーナメント毎に頼んでいる産業廃棄物処理業者に頼もう。
そのための費用は参加者から集めよう。
と言うことになったのです。

W.B.S.では発足当時から、
トーナメント毎に産廃業者にゴミ処理を依頼してきました。
それは、自分たちのイベントで「ゴミを出さない」、
出したら「自分たちで処理する」と言う不文律があったからです。
少なくも釣り場を守るための釣り人の第一義です。
でも、これはあくまでも自分たちのゴミです。
他人のゴミではありません。

しかし、ゴミ拾いとなると、
自分たちのゴミではないもを処理することになります。
そんなことのために費用を負担してくれるだろうか?
きっと、何とかなるよ。やりましょうよ。
釣りのオフシーズンなら集まりますよ。
霞ヶ浦が好きで集まっている連中ばかりですから・・・・。

参加費500円で開催された始めての水辺の清掃活動には、
70名ほどの参加者があり、集められた資金は35000円でした。
この当時、ゴミの処理費用には6万円ほど掛かっていたので、
参加費だけでは大きな赤字でしたが、
「自分たちの釣り場は自分たちで築き、そして守る」
と言う意識がこの時に芽生えました。

W.B.S.では、現在もトーナメント毎に産廃処理を依頼し、
自分たちの出したゴミはもちろんのこと、
会場となる土浦新港の清掃活動を行い、
それらのゴミをきちんと処理しています。

少しずつでしたが、釣り人たちが水辺のゴミを憂い、
その活動の輪を広げていきました。
そして、参加費の徴収と言う事実が、
水辺のゴミ拾いを釣り人の奉仕活動ではなく、
責務や義務へと変化させたのです。
釣りをする権利を主張するために、そのための義務を果たす!
この様な意識が生まれたのです。

水辺のゴミ拾いは、楽しい釣りを味わうための
代償だったり、対価だったり。
また、ゴミ拾いをすることによって
魚が釣れると言う信心が生まれたり、
ゴミ拾いが奉仕活動から日常の行事へと変わりつつあったのは、
清掃活動開始から4年後の2000年2月のことでした。

切っ掛けは大阪淀川で水辺の清掃活動が始まったことです。
関西の釣り仲間たちと交流していくうちに、
彼らが「自分たちの水辺を守る」」と言う意識を持ち、
淀川での「53 Pick up!」が2000年2月に始まりました。
次いで京都桂川ではじまり、さらに兵庫加古川とと飛び火し、
次々に意を同じくしてくれる仲間たちが出現したのです。
現在では、28府県50カ所以上で水辺の清掃活動が行われています。

その一方で、霞ヶ浦では2003年4月から
霞ヶ浦防塵挺身隊の活動が開始されました。
この防塵挺身隊の活動は、
それまで「53 Pick up!」ではしきれなかった清掃活動で、
岸辺のゴミのみにあらず、ボートやウェーダーを用いての
水面水中のゴミ拾いが主となりました。

この活動は、20~40人の少数によって、また地域を限定して行われます。
例えば、桜川河口や霞ヶ浦の蓮河原であれば、
土浦市の環境衛生課の協力を取り付け、
一般ゴミの処理依頼をします。
或いは、潮来前川であれば、潮来市の環境衛生課に依頼して、
ゴミ処理をお願いします。
粗大ゴミやリサイクルゴミの処理は国土交通省霞ヶ浦河川事務所に、
その処理を依頼します。

この様に、河川事務所や市町村と手を取りあってゴミの回収、
処理をしています。
しかし、ここでも参加費は徴収しています。
それは、万が一、行政からゴミ処理に対してそっぽを向かれても
自分たちで処理できる能力を備えるためです。
防塵挺身隊の参加費は500円です。
この中から傷害保険とゴミ処理費用を捻出しているのですが、
行政の協力が得られゴミ処理費用が残ると、
参加者による反省会のための昼食代になっています。

この反省会から、必要な道具が考えられました。
また、釣り人たちへの啓発活動にもなりました。
なんと云っても、水辺のゴミはその量が半端じゃありません。
特に、透明度の低い霞ヶ浦には、
ありとあらゆるものが捨てられています。

この防塵挺身隊に参加しても一度では味わえません。
二度でもまだまだでしょう、そう三度目になって少しだけですが、
水辺の在り方や環境保全の方法が見えるようになります。
ゴミを見ることで、そして拾い上げ、処理することによって、
その水域の生態系を刷新することが出来ます。
それは桜川河口にある葦原が雄弁に物語っています。

人間の出したゴミを除去することで、葦が元気に生育したのです。
何百キロ、何トンという人間の排出したゴミを、
この場から3年掛かりで除去した姿です。
葦の生育が見事になったら、次は葦原の刈り取り作業ですが、
相変わらずこの地には上流部からのゴミが流れ着いてきます。
拾っても拾ってもキリがないのは、上流部との交流がないからです。
霞ヶ浦のゴミを無くすためには、
流域住民が総出で協力協働することが不可欠です。

百年後、ゴミのない美しい霞ヶ浦や流入河川を目指して
釣り人による環境保全活動、釣り場の清掃活動は続きます。


最後に。
私の住む霞ヶ浦には、たくさんの魚が棲んでいます。
その魚たちと釣りを通じて親しむことで、
霞ヶ浦のいろいろなことが見えてくるようになりました。

魚釣りは釣る魚によって道具がちがってきます。
大きいハリや小さいハリ、重い仕掛けや軽い仕掛け、
太い竿、細い竿、長い竿、短い竿、のべ竿、リール竿など、
自分が狙うべき水中生物によって道具は変わってきます。

いろいろな魚が棲んでいる霞ヶ浦ですから、
魚たちを相手にした釣りの楽しみや、
魚たちの暮らしぶりを知ることを通じて、
霞ヶ浦を水中から見る目を養って欲しいと思います。

魚釣りは、今から四千年以上も前の日本人が、
生き延びるためにあみ出した食事をするための方法です。
これは、お米作りよりもズーッと古くから行われ、
そして伝えられてきました。

見てきたわけではありませんが、
当時の霞ヶ浦は海で、1メートルほどのクロダイやスズキが、
たくさん泳いでいたそうです。
貝塚から発掘された当時の魚骨や釣りバリから推測したと、
ひたちなか埋蔵文化財調査センターの鴨志田先生に教わりました。

この様に、ズーッと昔の人たちが、
生活を始めたころから霞ヶ浦と釣りは、
切っても切れないとても仲良しな関係でした。
しかし、一部の心無い釣り人たちによって、
楽しい魚釣りができなくなりつつあります。

たとえば、「ここは立入禁止ですよ!」
と書かれているカンバンの中に入って釣りをしたり、
ゴミを捨てたりなど、釣り場を守るべき釣り人が、
釣り場のルールを無視し、破っているからです。

私たち現代の釣り人の役目は、昔の人たちが楽しんだ魚釣りを、
未来の人たちが楽しめるように、きちんと釣り場を残すことです。
魚がいなくなってしまっては、魚釣りは楽しめませんからね。

釣り場に来たら、霞ヶ浦に来たら、一つのゴミも出さない。
できるならば、一つでもいいから持ち帰る!
という心掛けを持ってください。

霞ヶ浦の流域に住む100万人の人たちが、
このような気持ちを持ち備えることができたら、
霞ヶ浦はいつでも誰でも自由に魚釣り楽しむことができる
日本で一番キレイな釣り場になるでしょう。

ご清聴ありがとうございました。


と、まぁ、こんな原稿だったのですが、
当日はアドリブばかりになってしまい、
この中の幾つかが言えただけに終わってしまいました。
でも、万の言葉で話すよりも何よりも、
ゴミ拾いの実状を動画で見てもらうことのできたのが一番でした。
百聞は一見にしかず。
10月28日(土)午前9時、防塵挺身隊は出陣します!
手伝いたい方はjimukyoku@npo-org.までメールを下さい。
見物なさりたい方はいつでもどうぞ!!

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